トルコはどこに向かう?

近年のトルコの動向は、欧米のみならず日本や他の国の理解を超えるように見える。しかしエルドアンからすれば可なり簡単で分かりやすい原理の下に動いている。それはオスマン帝国の再現を望むものでもない。その行動原理は「トルコと協力する時は一人前のパートナーとして扱え。さもなければ協力はしない」という至極尤もな原理と「外交的解決に力の行使を躊躇わない(戦狼外交に近い)」という行動指針である。これでシリア、リビア、ナゴルノカラバク、東地中海の諸問題に取り組み、カタール支援、ウクライナ支援を行い、難民も処理してきた。欧米にとってトルコは過去、アタテュルク以来の親西欧路線を当然視してきてい居り、半人前にしか扱ってこなかったので、AKPのこの自立路線は厄介に映っている。特にNATOの枠組みに組み込まれたトルコがそれを逸脱しそうになるのは(インジェリック基地が重要なだけに)怪しからんと映る。しかしこの動向はエルドアンの存否に関わらず今後も変わらないだろう。中東は従来はアラブ、特に湾岸諸国の動向を重視して居れば諸案件が処理できた。今は非アラブのイスラム強国、トルコ、イランそしてイスラエルを変数に加えなければならなくなった。それだけ世界は一極体制から無極体制に移行しているのだ。

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