エルドアンの大統領再選への道に?

またしてもエルドアンが金利を引き下げた!!リラは今対円で10円を切った。私のトルコ滞在中は最高80円、大体60円前後だった。どうやら金利を下げれば投資が増え、雇用も増えると確信しているようだ。唯、対外依存度が52%程度のトルコは、その半分の日本と違って為替の動きは経済全体への影響が大きい。金利が下がれば当然リラ安に動き、対外依存度の高さから物価上昇が激しくなる。事実20%を超すインフレに見舞われている。それでもめげずに自説に固執するエルドアンは「独立の経済学」と自称しているが、「ブードゥー経済学」と他称で呼ばれている。その間、失業率は12~3%から上昇し、所得格差は急速に拡大して、ジニ係数も今や米国並みの不平等になっている。これが原因で、如何にカリスマ性が高くてもエルドアン支持は急速に減少しており、18年の大統領選挙で50%を超えた予兆尻率が30%(AKP単独で25%)まで低下した。エルドアンの願望は2023年の大統領選挙で勝利して、建国100年にして、建国の父アタテュルクを超えて、中興の祖となることだが、今の情勢ではおぼつかない。野党はこの情勢に総選挙を前倒しで行えとの合唱をしている。

確かに野党のCHPha22%から26%と、IYIは10%から14%とそれぞれ支持率を伸ばしており、地方選挙でのイスタンブール、アンカラの勝利に続き、AKPの天下で初めて支持が上向き始めている。最近はAKPの本流に居て、その後エルドアンとの確執で分派したダヴトール前首相の未来党、ババジャン前副首相のDEVAを始めとして野党等の共闘とも見える合従連衡が進んでいるようだ。

これに対抗してエルドアンはAKP議員には全国民を戸別訪問しろと言った途方もない圧力迄かけ始めている。又壮大なプロジェクトを打ち上げて国民に夢を与えようとしている。その象徴がイスタンブール運河計画である。全長45km、全幅250~360m、深度20mの運河をボスフォラス海峡の西側に作ろうとしている。(ボスフォラス海峡通過船舶は2007~2018で27%以上減少しているので)経済的には全く計算に合わないこの運河は、150億ドル以上かかると見込まれており、AKP政権下で甘い汁を吸ってきた「GANG OF FIVE]と呼ばれるジェンギス、リマック、カリオン、コリン、マキヨルのジェネコンがこれを請け負っている。更に資金繰りとしてUAEに目を付け、MBZをトルコに迎え100億ドルを超えるファンド設立で合意した。その代わりハマスやムスリム同胞団への支援を若干手控えるのであろう。これは中国マネーを貰うために、其れ迄同胞と見做して来たウィグルへの支持を翻し中国にすり寄った例と全く同じである。エルドアン外交はこのように実利本位であり、エルドアンの表面上激しいレトリックに騙されてはいけない。

エルドアンがどうなるのか?世界の関心事でもある。一昔前、エルドアンはどうなるのかを要路から聞かれることが多かった。「あと10年は大丈夫です。但し健康と暗殺の二つの不確実性は留意してください」というのが私の返答だった。その10年は正に終わろうとしている。先ず問題は彼の健康だ。10数年前の大腸がん手術の影響から薬の大量投与を毎日続けており、訪日の折には救急車が車列に常に同行して今日居までも入って行ったほどである。時に彼はシャキッと、時に意識朦朧に振舞っており健康状態は万全ではない。彼が仮に何らかの理由で退陣した場合にはAKPは続かないだろう。それがトルコの政党、遊牧民族の集合離散の在り方だからだ。AKPは分裂し、そこからまた新たな合従連衡が始まるだろう。

もう一つは合法的な選挙で退陣した場合だ。しかし彼はあらゆる手段で負けを防ぐだろう。選挙の延期、他政党へのアプローチ(Felicity Partisiへの働きかけは既に始まっている)、対外的緊張の創出、選挙方法の変更等々、最後まで奇策をひねり出すであろう。何せ先のクーデター騒ぎも私が見るところ、予め予知していたので都合よく利用して政敵のギュレンをパージすることに成功したのだから。

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