アフガン後

混乱の中に20年に亘る米国のアフガニスタン戦争は終わった。世の中は米国撤退の無様な姿を、ベトナム戦争での撤収、イラン人質救出の失敗に準えて、バイデン政権批判に忙しい。世界が瞬時にその画像を共有する情報化の世界では、視覚に訴えるメッセージが決め手になる。今回は「Doing good things badly 」であったと思う。

確かにこの撤収は「世界の警察官」の米国が終焉したことを明確にしたし、これからの世界は新たな章になるだろう。そこでは、米国はlikeminded nations を率いる主導者に過ぎず、世界地図を独自に描くことは最早出来ない。世界は中国が米国同様、強大国として覇を振るい、特に情報網とITについては米国とは別の勢力圏が出現するだろう。

焦点のアフガンに目をやれば、米国にとってアフガンは最早「テロと核」を除けば国益上無視しても良い存在となったと言える。核というのは、パキスタンの核に過激派が手を掛ける事だけは絶対に避けたい、米国の核心的利益と言ってもいいだろうし、それは日本にとっても同じこと。

問題はその過激派対策をアフガンでの拠点無くしてどう実施していくのかである。タリバンがIS-Kと仲違いしているとしてもアルカイダとは関係を保っていることもあって、アフガン国内でのHUMINTには限界があろう。旧北部連合の地域も今回タリバンが真っ先に支配したことからそこで防諜も限界がある。

と言う事はどうしても周辺国からの防諜、周辺国情報への依拠となる。即ちパキスタンが極めて重要となる。パキスタンの核の防御が核心的利益であるだけに、今後米国のパキスタン傾斜は避けられない。これはインドにとっては良い話ではなく、アフガン政府の瓦解と共にインドの勢力がこの地域では削がれることになる。

果たしてパキスタンがその戦略的価値をどう使って、米中のバランスを取っていくのか見ものでもある。

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